🚗 車椅子での旅行サポート完全ガイド

交通手段サポート完全ガイド
  1. ✨第1章:旅行準備の基本
    1. ― わたしも最初は怖かった。でも動けた日の感動を、あなたにも ―
    2. ✨不安が消えるのは「知る」ことから
    3. ✨葉月流・旅を叶える3つの原則
      1. ①「全部ひとりで抱えない」
      2. ②「できる限り“聞く”」
      3. ③「選択肢を増やしておく」
    4. ✨そして、旅は「できない」から「選べる」へ変わる
  2. ✨第2章:車(自家用車・レンタカー)
    1. ― 一番自由で、一番落とし穴が多い移動手段 ―
    2. ① よくある不安
      1. ● トイレの問題
      2. ● 渋滞したらどうする?
      3. ● 車椅子の収納問題
      4. ● 車からトイレまでの距離
    3. ② それにどう対応すれば安心か
      1. 1)長距離はなるべく高速道路を使う
      2. 2)渋滞ポイントを事前チェック
      3. 3)一般道の場合は「コンビニマップ」でルートを作る
      4. 4)山道・海岸線に行くときは“トイレのある施設”を探す
    4. ③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  3. ✨第3章:バス
    1. ― 路線バスは味方。観光バスはひと工夫。電話一本が旅の安心をつくる ―
    2. ① よくある不安
      1. ● 自分の乗るバスが“車椅子対応車両”なのか
      2. ● 乗り降りのときの混雑
      3. ● 車椅子スペースに座っているお客さん問題
      4. ● 観光バスは本当に乗れるの?
    3. ② それにどう対応すれば安心か
      1. 1)路線バス:営業所に一本電話を入れる
      2. 2)観光バス:旅行会社 or バス会社に直接相談
      3. 3)“どこまで動けるか”を相手に伝える
    4. ③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  4. ✨第4章:タクシー
    1. ― 実は“相性の交通手段”。安全に乗れるかは準備で決まる ―
    2. ① よくある不安
      1. ● 車椅子はどうやって載せるの?
      2. ● ドライバーさんが対応できる?
      3. ● 移乗は手伝ってもらえる?
      4. ● 迎車したときに断られない?
    3. ② それにどう対応すれば安心か
      1. 1)手動車椅子 × 少し歩ける
      2. 2)手動車椅子 × 歩行不可
      3. 3)電動車椅子
      4. 4)旅行前に“相性のいい会社”を見つけておく
    4. ③ 実際に葉月がどうしてるか(体験・コツ)
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  5. ✨第5章:在来線(電車)
    1. ― いちばん身近で、いちばん不安。でも、慣れるほど“自由の扉”になる ―
    2. ① よくある不安
      1. ● ホームと電車の間が怖い
      2. ● エレベーターはある?
      3. ● 他のお客さんに迷惑かけないかな
      4. ● 揺れで倒れたらどうしよう
    3. ② どう対応すれば安心か
      1. 1)改札は必ず「駅員さんのいる改札」へ
      2. 2)行き先・乗り換えを先に伝える
      3. 3)出口が多い駅は“事前に電話”
      4. 4)“乗り換え”なのか“下車”なのかはっきり伝える
    4. ③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  6. ✨第6章:新幹線
    1. ― 一番遠くへ連れて行ってくれる、いちばん安心な移動手段 ―
    2. ① よくある不安
      1. ● 車椅子の置き場所
      2. ● 多目的トイレが近い席に座れる?
      3. ● 乗り換えの移動がスムーズにできるか
      4. ● ホームの安全
    3. ② どう対応すれば安心か
      1. 1)迷わず「みどりの窓口」に電話
      2. 2)車椅子席は2タイプある
      3. 3)利用日の相談・手配は一括でしてもらえる
      4. 4)下車後のローカル線の手配も可能
    4. ③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)
      1. そして何より感動したのが…
      2. ✨当日の流れはこんな感じ
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  7. ✨第7章:飛行機
    1. ― 空の旅は不安もあるけれど、勇気を出せば大きな世界が広がる ―
    2. ① よくある不安
      1. ● 空港内が広すぎて、移動できるか不安
      2. ● 搭乗時に階段やバス移動が発生しないか
      3. ● 機内のトイレが心配
      4. ● 車椅子はどこまで使えるの?
    3. ② どう対応すれば安心か
      1. 1)「空港」への問い合わせが最速
      2. 2)航空会社に“車椅子利用”を必ず事前連絡
      3. 3)搭乗時に階段がある場合はサポートしてくれる
      4. 4)機内の移動は“オンボード用車椅子”で
    4. ③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)
    5. ④ 事前準備チェックリスト
    6. ⑤ 一言まとめ
  8. ✨第8章:まとめ ― 旅は「できない」から「選べる」へ
    1. ― あなたの旅は、あなたが思っているよりずっと広い ―
    2. ✨旅は「準備の量」=「安心の量」
    3. ✨そして旅は、あなたの世界をひらく
    4. ✨あなたにも、旅はきっとできる
    5. ✨最後に

✨第1章:旅行準備の基本

― わたしも最初は怖かった。でも動けた日の感動を、あなたにも ―

「旅に行きたいな…」と思ったとき、
最初に胸に浮かぶのは“楽しみ”よりも、“不安”ではないでしょうか。

行けるだろうか。
乗れるだろうか。
迷惑をかけないだろうか。

わたし自身、初めて「車椅子でひとりで移動しよう」と思ったとき、
心の中にいろんな声がざわざわして、なかなか踏み出せませんでした。

けれど、ある日ほんの小さなきっかけから、
「行けるかもしれない」という光が、ふっと胸の奥に灯ったのです。

そこから少しずつ、
ひとつ乗るたびに「大丈夫だった」
ひと駅進むたびに「行けた」
という安心感が積み重なっていきました。

たしかに、車椅子での旅には独特のハードルがあります。

そして、それは
“根性”でも
“気合い”でも
“勇気”だけでも
どうしようもありません。

わたしが気づいたのは、
車椅子での旅行は「準備をした分だけ、自由が広がる旅」だということです。


✨不安が消えるのは「知る」ことから

車でも
バスでも
電車でも
新幹線でも
飛行機でも。

車椅子で移動するときって、
「どう動けばいいのか」を知らないだけで、不安は何倍にも膨らみます。

でも一度知ってしまえば、
「そういう風にやればいいんだ」
と心がふっと軽くなり、できることがいきなり増える。

わたしも最初は、
駅で何から伝えればいいのかもわからなかったし、
どんな席があるのかも知らなかったし、
介護タクシーの仕組みすら知らないところから始まりました。

けれど、
・電話で聞く
・駅員さんにお願いする
・設備を確認する
この3つを覚えただけで、
旅がどんどん“現実の選択肢”になっていったのです。


✨葉月流・旅を叶える3つの原則

①「全部ひとりで抱えない」

駅員さんも、バス会社さんも、タクシー会社さんも。
こちらがお願いすれば、想像以上に丁寧に対応してくれます。
むしろ、サポートするのは彼らの仕事です。

②「できる限り“聞く”」

ネット情報より、電話の方がずっと正確です。
わたしも今でも、初めて行く駅や空港なら、迷わず電話します。

③「選択肢を増やしておく」

・高速道路を使う
・途中駅で休憩する
・無理ならタクシーに切り替える
「これがダメならこうしよう」があるだけで、心の負担は激減します。


✨そして、旅は「できない」から「選べる」へ変わる

一度、ひとりで遠出できたとき。
わたしは帰りの電車で、涙が出そうになるくらいの達成感を覚えました。

「わたし、ひとりでも行けたんだ」

その気づきは、
心をどこまでも自由にします。

このガイドは、
その“自由になる感覚”を、
あなたにも手にしてもらえたらと思って書いています。

ここから先は、交通手段ごとに、
・よくある不安
・どう対策するか
・わたしの実体験
・準備のコツ
を具体的に紹介していきます。

あなたの旅が、もっと自由に、もっと笑顔に満ちていますように。
今日よりもっと、安心でやさしい時間になりますように。

✨第2章:車(自家用車・レンタカー)

― 一番自由で、一番落とし穴が多い移動手段 ―

車は、車椅子ユーザーにとって“もっとも自由度が高い交通手段”です。
好きな時に出発できて、好きなときに休憩できて、荷物も遠慮なく載せられる。

けれどその一方で、
「困ったときに助けを呼びづらい」
という、ほかの交通手段にはない弱点があります。

わたし自身も、
“車なら安心だろう”と思い込んでいた頃に、
ヒヤッとした場面を経験したことが何度もあります。


① よくある不安

車での移動は自由な反面、こんな不安がついてきます。

● トイレの問題

高速道路ならまだしも、一般道や山道は本当にトイレがありません。
特に山道は「ここから先20kmトイレなし」ということも普通。

● 渋滞したらどうする?

SAを出た瞬間に渋滞に突入することも。
これが一番焦ります。

● 車椅子の収納問題

手動車椅子ならまだいいですが、電動車椅子だとまず載りません。
「レンタカーで行けるかどうか?」という点でも迷うところです。

● 車からトイレまでの距離

SAや道の駅でも、駐車場からトイレが遠かったり、
スロープの傾斜がきついこともあります。


② それにどう対応すれば安心か

1)長距離はなるべく高速道路を使う

SA・PAには多目的トイレがほぼ完備されています。
ただし「次のトイレまで距離があるSA」もあるので、
“行けるときに行く”が鉄則です。

2)渋滞ポイントを事前チェック

Googleマップの「混雑予想」はとても便利。
また、NEXCOの渋滞カレンダーは要チェックです。

3)一般道の場合は「コンビニマップ」でルートを作る

わたしは必ず、コンビニの位置を確認します。
コンビニ=多目的トイレではありませんが、「個室トイレが比較的広い」ことが多いので、緊急時には助かることがあります。

4)山道・海岸線に行くときは“トイレのある施設”を探す

ビジターセンター
道の駅
公園
展望台
これらはトイレがある確率が高いので、地図でチェックしておきます。


③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)

わたしが最初に焦ったのは、
SAを出たあとすぐ渋滞にハマったとき”です。

本当はもっと走ってから立ち寄ればよかったのですが、
そういう日に限って突然トイレに行きたくなるもの。
けれど目の前には、まったく動かない車列…。

このときから、わたしは「SAを出る前に必ずトイレを確認する」
というルールを作りました。

また、一般道を走るときは、
Googleマップでルートにあるコンビニ・道の駅をざっと把握します。
実際に使わなかったとしても、
「最悪、あそこに寄れる」という安心感があるだけで全然違います。

山道や海沿いでは本当に施設がゼロのことが多いので、
ビジターセンターがあるなら、そこで休憩を取るようにしています。


④ 事前準備チェックリスト

  • 高速道路のSA/PAの位置を確認
  • 渋滞予測を調べておく
  • 川沿い・海沿い・山道のルートにトイレがあるか確認
  • コンビニ・道の駅をマップでチェック
  • 車椅子の積み下ろし手順を確認
  • 同乗者に「どのくらい動けるか」を共有
  • 念のための簡易トイレを車に常備

特に、簡易トイレは
「一度も使ったことがなくても」
入れておくだけで安心感が段違いです。


⑤ 一言まとめ

車移動は、自由度が高い反面、
“トイレ問題”が最大の壁になります。

計画さえしっかり立てておけば、
「次の休憩ポイントまで行ける」
という見通しがつくので、不安が激減します。

行きたい景色が遠くにあるほど、
事前の準備はあなたの旅を助けてくれます。

✨第3章:バス

― 路線バスは味方。観光バスはひと工夫。電話一本が旅の安心をつくる ―

車椅子でバスに乗るとき、
最初に浮かぶ不安は「本当に乗れるのかな?」というひとことに尽きます。

バスは“列車ほど設備が安定していない”ぶん、
路線や車両によって乗りやすさが大きく変わる交通手段。

だからこそ、
「連絡一本で旅のしやすさが劇的に変わる」
というのも、バスの大きな特徴なんです。

わたし自身、路線バスも観光バスも使いましたが、
バスは電話をしておくかどうかで、安心感が本当に変わります。


① よくある不安

● 自分の乗るバスが“車椅子対応車両”なのか

路線バスはほぼ対応していますが、観光バスは入口が狭く段差が大きめ。
「乗れる?」「無理そう?」が事前にはわかりにくいですよね。

● 乗り降りのときの混雑

バスは“乗り降りにかかる時間”を気にしてしまう人が多いです。
後ろに人が並んでいると、焦ってしまうことも。

● 車椅子スペースに座っているお客さん問題

車椅子スペースは普段“通常座席”として使われていることが多いので、
折りたたむために「席を空けてもらう」という流れが必要になります。

● 観光バスは本当に乗れるの?

入口が狭い、階段が高い、固定具がない…
物理的なハードルがどうしても出てきます。


② それにどう対応すれば安心か

1)路線バス:営業所に一本電話を入れる

・乗る路線
・乗る時刻
・車椅子を利用すること
を伝えておきましょう。

電話ひとつあるだけで、
車椅子スペースを空けて走ってくれる こともあります。

バス会社の方は本当に親切で、
「何時ごろ来られますか?」
「何分の便に乗りますか?」
と、こちらの状況を丁寧に確認してくれます。

2)観光バス:旅行会社 or バス会社に直接相談

観光バスは路線バスのようなスロープがありません。
だからこそ、旅行会社とバス会社の両方に連絡するのが必須。

もし階段が高い場合、
運転手さんが抱えてくれることもありますが、
これは本当にケースバイケースです。

必ず事前に
「車椅子利用ですが参加できますか?」
と確認してくださいね。

3)“どこまで動けるか”を相手に伝える

・少し立てるのか
・座席への移乗が可能なのか
・車椅子が折りたためるか
これを伝えるだけで、準備がとてもスムーズになります。


③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)

以前、バス旅行に参加したときのこと。
観光バスは入口が狭く、段差も高く、
普通なら難しい状況でした。

企画会社に事前に相談したところ、
・当日のバスはわたし用に調整してくれ
・運転手さんと添乗員さんが丁寧に対応してくれ
結果的に、
運転手さんが抱きかかえて座席まで移動させてくれた ということも。

「ここまでしていただけるなんて…」という気持ちと、
「行きたい場所に行けた」という喜びが同時に押し寄せてきました。

路線バスの場合も、
営業所へ「◯時ごろのバスに乗る予定です」と伝えておけば、
車椅子スペースを空けてくれていたり、
乗務員さんがすぐ気づいて声をかけてくれたりします。

乗るときは必ず
降りたいバス停を伝えておく
これだけで降車時の不安はゼロになります。

👉 乗合バスの体験記はこちら


④ 事前準備チェックリスト

  • 利用するバスの「営業所」に連絡
  • 観光バス・高速バスは企画会社+バス会社に連絡
  • 自分が“どこまで動けるか”を明確に伝える
  • 車椅子の折りたたみ方を把握
  • 乗る時刻・バス停名を必ず控える
  • 混雑時間を避ける
  • 降りるバス停を早めに運転手さんへ伝達

⑤ 一言まとめ

日本の路線バスは、
“乗りやすさ”という点では本当に優しい環境です。

運転手さんも、お客さんも、
思っている以上に快くサポートしてくれます。

ただし観光バスは、
設備的にどうしても無理があるケースもあります。

勝負のカギはただひとつ。
「事前連絡の上手さ」が旅の成功を左右すること。

ここさえ押さえておけば、
バス移動はぐっと身近になり、安心感も大きくなります。

✨第4章:タクシー

― 実は“相性の交通手段”。安全に乗れるかは準備で決まる ―

タクシーは、
「駅から病院へ」
「観光地の近接移動」
「どうしても疲れたときの最終手段」
として、とても使いやすい交通手段です。

でも同時に、
車椅子ユーザーにとっては “ちょっと勇気が必要な乗り物” かもしれません。

わたしも最初は不安で、
「迷惑かけないかな…」
「車椅子をどうしたら?」
と、頭の中がぐるぐるしていました。

それでも、いくつか経験を重ねるうちに、
タクシーは“準備さえしておけば一番ストレスの少ない移動手段”だと気づきました。


① よくある不安

● 車椅子はどうやって載せるの?

手動ならまだしも、電動車椅子は重量の問題で積めません。

● ドライバーさんが対応できる?

ドライバーさんには
「車椅子慣れしている人」「そうじゃない人」がいます。
これが大きな差につながります。

● 移乗は手伝ってもらえる?

体を支えてもらえるかどうかは、
ドライバーさんの判断に委ねられることも多いです。

● 迎車したときに断られない?

重度の車椅子なら介護タクシー必須ですが、
それを知らずに一般タクシーを呼ぶと困ることも。


② それにどう対応すれば安心か

1)手動車椅子 × 少し歩ける

一般タクシー利用OK!

ただし、
・トランクに入るタイプの車椅子か
・女性ドライバーで持ち上げられない場合がある
ので、迎車する時はこう伝えるとベストです:

「手動の車椅子をトランクに積んでいただけるドライバーさんをお願いします」

これで“積めない問題”はかなり予防できます。


2)手動車椅子 × 歩行不可

介護タクシーが安心

乗り降りのサポートが必須の場合は、
一般タクシーではリスクがあります。

介護タクシーなら、
・後ろからスロープ
・そのまま固定
が可能です。


3)電動車椅子

介護タクシー一択

電動は重いので、一般車両はまず対応できません。


4)旅行前に“相性のいい会社”を見つけておく

タクシー会社によって対応の差がほんとうに大きいので、
普段の生活の中で
「ここは感じがいい」「ここは慣れてる」
という会社を見つけておくと旅でも使えます。


③ 実際に葉月がどうしてるか(体験・コツ)

わたしの場合、
短距離なら一般タクシーを使うことが多いです。

ただし、
「車椅子の畳み方を理解しておく」
ことは本当に大事でした。

車椅子に慣れていないドライバーさんは、
どう畳めばいいか分からず戸惑ってしまうこともあります。

そんなときは、
「ここを押して、ここを引くと畳めますよ」
と一言伝えるだけで、スムーズに積んでもらえます。

また、ドライバーさんによっては
「体を支える手伝いはできません」
と言われることもありました。

安全上の理由なので、これは当然のこと。

そんなときは無理をせず、
「最初から介護タクシー」 に切り替えます。

逆に、
ものすごく親切で手伝ってくださる方もいて、
気持ちが救われる瞬間が何度もありました。

タクシーは“人で決まる交通手段”ですが、
だからこそ準備が大事だと強く感じています。


④ 事前準備チェックリスト

  • 自分の車椅子の畳み方・重さを把握しておく
  • 迎車時に「車椅子あり」を必ず伝える
  • 電動の場合は介護タクシーを予約
  • 長距離の場合は費用の見積もりを確認
  • 移乗のサポートが必要かどうかを明確に
  • 介護料の有無も確認
  • 旅行前に“対応の良い”タクシー会社を把握
  • 車椅子につけている荷物は先に外しておく

⑤ 一言まとめ

タクシーは、
「最短で目的地に行ける」
という大きなメリットがあります。

でもそれ以上に、
“人”と“準備”に左右される乗り物でもあります。

だからこそ、事前準備と、
「自分がどこまで動けるか」を相手に伝えることが
旅の安全と快適さに直結します。

ちゃんと伝えさえすれば、
思っている以上に多くのドライバーさんが
丁寧に応えてくれます。

あなたの旅を支えてくれる、
頼もしい相棒になってくれるはずです。

✨第5章:在来線(電車)

― いちばん身近で、いちばん不安。でも、慣れるほど“自由の扉”になる ―

在来線の電車は、旅行でも日常でも“一番よく使う交通手段”です。
でも車椅子ユーザーにとっては、
「最初の一歩」がいちばん怖い乗り物でもあります。

わたしも最初は、
乗れるのかな?
倒れないかな?
迷惑にならないかな?
と、考えすぎて駅の前で立ち止まってしまったことがあります。

だけど本当は、
在来線は“駅員さんのサポートの質”がものすごく高くて、
慣れると新幹線よりラク
になるくらい、心強い交通手段なんです。


① よくある不安

● ホームと電車の間が怖い

段差、隙間、揺れ。
“落ちたらどうしよう”という恐怖が強いですよね。

● エレベーターはある?

出口が1つだけの駅なら簡単だけど、
大きな駅は“エレベーターがどの出口にあるか”が複雑。

● 他のお客さんに迷惑かけないかな

混雑の中で車椅子が動くのは大変だし、
視線が気になることもあります。

● 揺れで倒れたらどうしよう

在来線は新幹線より揺れが強くて、
ときどき「転びそう…!」という瞬間もあります。


② どう対応すれば安心か

1)改札は必ず「駅員さんのいる改札」へ

駅の係員さんに伝えるだけで、
乗車〜降車まで全てサポートしてくれます。

2)行き先・乗り換えを先に伝える

・どこまで行くか
・乗り換えがあるか
・下車駅はどこか
これだけで、対応が何倍もスムーズに。

3)出口が多い駅は“事前に電話”

「◯番出口は車椅子で出られますか?」
と、聞いておくと迷いません。
複数出口がある駅は、対応が分かれていることが多いのです。

4)“乗り換え”なのか“下車”なのかはっきり伝える

これ、めちゃくちゃ重要。
同じ駅でも、案内ルートが全て変わってきます。


③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)

わたしの場合、
初めて行く駅は必ず電話します。

出口が何か所もある駅だと、
「あっちの出口は階段しかありません」
「こちらの出口ならエレベーターがありますよ」
と、非常に細かく教えてくれます。

特にJRと私鉄がつながっている駅では、
・地下通路
・別会社のホーム
・複数の改札
が複雑に絡み合っていて、
車椅子で行ける導線は限られているからです。

また、乗り換えでは
“JRの改札に私鉄の駅員さんが迎えに来てくれていた”
という経験もあります。

これは本当に感動しました。
駅員さんの連携に支えられて、
わたしは乗り換えのたびに安心できています。

さらに、
揺れが心配なときや混雑が気になるときは、
駅員さんにお願いして車椅子スペースのある車両に案内してもらいます。

ただし、これは混雑時には難しいので、
そのときは駅員さんに指示してもらいながら、
いちばん安全な場所に乗せてもらっています。

そして、在来線でも
“トイレ休憩で途中下車”
が必要になることがあります。

わたしも一度、我慢が限界になってしまって、
途中駅で自分から「降ります」とお伝えしたことがあります。

駅員さんはきちんと
「次に乗る電車の時刻」と「降車駅への連絡」をしてくださり、
安心して次の電車に乗ることができました。

👉 ローカル電車の体験記はこちら


④ 事前準備チェックリスト

  • 利用駅に電話して出口とエレベーター位置を確認
  • 混雑時間を避ける(特に通勤ラッシュ)
  • 交通パスカードに多めにチャージ
    → チャージで待つ時間がもったいない
  • 乗り換えルートをざっくり把握
  • 途中下車が必要な場合は、駅員さんに伝える
  • 車椅子スペースを利用したい場合は早めに相談

⑤ 一言まとめ

在来線は、
“いちばん怖くて、いちばん味方になってくれる交通手段”
です。

最初の一歩は勇気がいりますが、
一度サポートを体験してしまえば、
「こんなに優しいんだ」と驚くはずです。

駅員さんは本当にプロで、
車椅子ユーザーの乗車・降車の流れを熟知しています。

あなたの旅は、
あなたが想像するよりずっと自由で、
ずっと広いものなんです。

✨第6章:新幹線

― 一番遠くへ連れて行ってくれる、いちばん安心な移動手段 ―

車椅子で新幹線に乗る。
その一言には、大きな不安と、同じくらいの期待が混ざっています。

「座席はどこだろう」
「車椅子はどこに置けるんだろう」
「混雑して迷惑にならないかな」
「乗り換えはうまくいくかな」

わたしも最初はドキドキして、
駅のホームの風の音すら緊張に聞こえました。

そして実際に乗ってみたとき、
“あ、新幹線ってこんなに安心して乗れるんだ…”
と心の底から感じたのです。


① よくある不安

● 車椅子の置き場所

新幹線の車内は思っている以上に通路が狭く、
車椅子は通路に置くことができません。
「どこに置けばいいの?」という不安は当然です。

● 多目的トイレが近い席に座れる?

遠いと移動も大変。
近いほうが安心ですよね。

● 乗り換えの移動がスムーズにできるか

大きな駅になるほど導線が複雑になります。

● ホームの安全

在来線より高速運転する新幹線は、
“ホームドアがあるかどうか”が精神的に大きな安心につながります。


② どう対応すれば安心か

1)迷わず「みどりの窓口」に電話

わたしも最初はここから始めました。
「新幹線に車椅子で乗りたいのですが」
この一言で丁寧に案内してもらえます。

2)車椅子席は2タイプある

・車椅子のまま過ごせる席
・車椅子を置いて“隣の指定席に移る”席
移れる場合は座席席タイプが快適。
料金は通常の指定席と同じです。

3)利用日の相談・手配は一括でしてもらえる

“発駅 → 乗り換え → 新幹線 → 到着駅”
まで、すべて連携して手配してくれます。

4)下車後のローカル線の手配も可能

わたしはこれに驚きました。
叔母の家の最寄り駅が 「無人駅」 だったのに、
駅員さんが待っていてくださったのです。
みどりの窓口で相談しておくと、
驚くほど広範囲で連携してくれることがあります。


③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)

わたしが初めて北陸新幹線で遠出したとき、
まずみどりの窓口に電話をしました。

「新幹線に乗りたいのですが」と相談すると、
・車椅子席の種類
・指定席券の取り方
・どの駅が乗り換えやすいか
・下車駅の状況
など、ひとつずつ丁寧に案内してくれました。

そして何より感動したのが…

“乗り換え駅から、叔母の家の最寄りの無人駅まで”
全部の駅に連絡して、駅員さんを手配してくださったこと。

その駅は普段は無人駅。
なのに、わたしが乗る時間に合わせて駅員さんが待っていてくれて、
スロープを出してくれて、
ホームの段差にも小さなスロープをつけてくださって。

その優しさに胸がいっぱいになりました。


✨当日の流れはこんな感じ

・最寄り駅の駅員さんが乗り継ぎまでサポート
・大宮駅では改札からホームまで案内
・時間が早かったので、ホーム近くのカフェを案内してくれる
・発車時刻が近づいたら迎えに来てくれる
・ホームドアつきの安全なホームへ
・スロープを設置して車内へ
・専用スペースはとても広く、落ち着いて座席へ移乗
・多目的トイレが目の前
・車内の揺れはほとんどなく、景色を楽しみながらの移動

そして下車駅では、
「帰りのご予定も手配済みです」
と声をかけていただき、乗り換えも安心そのもの。

帰りの駅員さんにも
「今日は楽しめましたか?」
と優しく声をかけてもらえて、
思わず「はい!」と笑ってしまいました。

👉 新幹線の体験記はこちら


④ 事前準備チェックリスト

  • みどりの窓口へ事前連絡
  • 列車番号・乗りたい時間帯をメモ
  • 車椅子席の種類を決めておく
  • 障がい者手帳・交通パスの所持
  • 切符類は取り出しやすいポシェットへ
  • 乗り換え駅の位置をざっくり把握
  • 無人駅なら、手配できるか必ず相談
  • 車椅子に荷物を掛ける場合、乗車前に外しておく

⑤ 一言まとめ

新幹線は、
“遠くに行きたい” という気持ちを叶えてくれる最強の味方です。

最初は怖くても、
一度駅員さんのサポートを体験すれば、
「こんなに安心なんだ…!」
と必ず感じられるはず。

車椅子でも、ひとりでも。
新幹線はちゃんと旅を支えてくれます。

わたしにとって新幹線は、
不安を超えて「行ってみたい場所」をつないでくれる、
大切な大切な移動手段です。

✨第7章:飛行機

― 空の旅は不安もあるけれど、勇気を出せば大きな世界が広がる ―

わたし自身、飛行機はあまり得意ではありません。
国内なら“できるだけ電車で行きたい”派ですし、
飛行機に乗るのはどうしても避けられない場面だけです。

でもだからこそ、
同じように “飛行機がちょっと苦手” という人にも、
できるだけ安心してもらえるように、この章を書いています。

飛行機は独特の不安がありますよね。

“乗り降りはどうするの?”
“空港の移動って広すぎない?”
“多目的トイレはどこにあるの?”
“機内の移動はどうするの?”

そんな疑問のほとんどは、
事前の連絡だけでほぼ解消 できます。

空港と航空会社のサポート体制はとても整っているので、
“飛行機が怖い” という気持ちは、決してあなただけではありません。


① よくある不安

● 空港内が広すぎて、移動できるか不安

空港は縦にも横にも広いので、初見では迷いやすいです。

● 搭乗時に階段やバス移動が発生しないか

タラップ(階段)だけの搭乗は心配ですよね。

● 機内のトイレが心配

機内は狭いので不安に感じる人が多いです。

● 車椅子はどこまで使えるの?

搭乗口まで乗れるのか、預けるのか、分かりにくいです。


② どう対応すれば安心か

1)「空港」への問い合わせが最速

空港には バリアフリー窓口 があり、
移動ルート、エレベーター、トイレ位置まで丁寧に教えてくれます。

2)航空会社に“車椅子利用”を必ず事前連絡

これをしておくと、当日が一気にラクになります。

・搭乗口まで自走できるか
・機内ではどこまで移動できるか
・座席はどの位置がいいか
・預ける荷物と車椅子の扱い

ひとつひとつ確認してくれます。

3)搭乗時に階段がある場合はサポートしてくれる

地方空港ではタラップ(階段)が一般的ですが、
「車椅子対応の昇降機」で乗せてもらえます。

4)機内の移動は“オンボード用車椅子”で

航空会社には、
機内専用の細い車椅子(オンボードチェア) が用意されています。

これを使えば、
座席 → トイレ の移動も可能です。


③ 実際に葉月がどうしているか(体験・コツ)

わたしは飛行機に乗る機会は少ないのですが、
乗るときは必ず
「空港」と「航空会社」の両方に連絡 します。

飛行機は
・搭乗
・降機
・機内の移動
・車椅子の扱い
と、サポートポイントが多く、
“電話したほうが早い” 交通手段なんです。

そして対応してくださるスタッフの方々は、
本当に丁寧で温かいです。

空港に着いたとき、
「こちらです」「ついてきてくださいね」
とゆっくり案内してくださる安心感。

搭乗口で車椅子を預けるときも、
「ご心配なことありますか?」
と優しく声をかけてくれる温度。

CAさんたちも、
「必要なときは呼んでくださいね」
と安心の声がけをしてくれます。

飛行機は“堂々とお願いしていい交通手段”なんだと思います。


④ 事前準備チェックリスト

  • 空港のバリアフリー窓口に問い合わせ
  • 航空会社に車椅子利用の申告
  • 搭乗時刻を早めに設定
  • 機内の座席位置の相談(前方が安心)
  • 障がい者手帳の提示で割引がある場合も
  • スマホの充電は満タンに
  • 連絡先を誰かに伝えておく
  • 座席と車椅子の距離を相談し、安全な動線を確保

⑤ 一言まとめ

飛行機は “知らないことが多い” から不安が強いだけで、
実際にはサポートの質がとても高い交通手段です。

もちろん、空港が広すぎて疲れてしまったり、
機内のトイレが不安だったり、
気を遣うポイントもあります。

それでも、
空の旅でしか行けない場所、
飛行機でしか会いに行けない人、
そんな“遠い世界”が確かにあります。

あなたがもし、
少し遠くへ行きたいと感じたとき。

その気持ちは、
飛行機ならちゃんと叶えてくれます。

✨第8章:まとめ ― 旅は「できない」から「選べる」へ

― あなたの旅は、あなたが思っているよりずっと広い ―

ここまで、
車、バス、タクシー、電車、新幹線、飛行機と、
さまざまな交通手段についてお話してきました。

どの乗り物にも、
「怖いな…」「できるかな…」
という不安がつきまといます。

でもその不安は、
あなたが弱いわけでも、
勇気が足りないわけでもなくて。

まだ「知らない」だけ。
まだ「経験していない」だけ。

わたしも最初は不安のかたまりで、
駅に向かう道の途中で何度も立ち止まったし、
電車の揺れにびくっとしたこともあるし、
車で渋滞に巻き込まれて焦ったこともありました。

でも、ひとつ越えるたびに気づいたんです。

「あ、大丈夫だった」
「わたし、行けるんだ」

その積み重ねは、
いつしか“できないこと”を“できること”に変えていきます。


✨旅は「準備の量」=「安心の量」

車椅子で旅をするとき、
ただ1つだけ大切なことがあります。

それは、
“準備はあなたを裏切らない”
ということ。

・電話をする
・駅員さんにお願いする
・巡る場所の導線を確認する
・出口を調べる
・無人駅の有無を知っておく
・トイレの位置を把握する

これらはすべて、
あなたが安心して笑顔で旅を楽しむための、大切な“お守り”です。

準備があるだけで、
心がすっと軽くなり、
迷いが減り、
「行ってみたい」が現実になります。


✨そして旅は、あなたの世界をひらく

わたしが初めて新幹線でひとり旅をした日のことを、
今でもはっきり覚えています。

スロープを渡って、
車内の席に落ち着いた瞬間。

外の景色がゆっくり流れて、
胸の奥の何かがふわっとほどけていくようで、
涙が出そうになりました。

「わたし、行けた。
ひとりで、こんな遠くまで来れたんだ。」

旅が教えてくれたのは、
“行ける世界は、自分が思っているよりずっと広い”
ということでした。


✨あなたにも、旅はきっとできる

ここまで読んでくれたあなたなら、
きっともう気づいているはずです。

あなたの旅は、
あなたが想像しているより、
ずっと、ずっと広くて。

車椅子だから行けない場所があるのではなく、
車椅子でも行ける場所がすごく多い
ということ。

不安があれば、ひとつひとつ整えればいい。
迷ったら誰かに聞けばいい。
大変なところは、プロに任せればいい。

そして、
あなたが「行ってみたい」と思う、その気持ちこそが、
旅の一番大切な原動力です。


✨最後に

あなたの旅が、
あなたの世界を少しでも広げますように。

あなたの心が、
新しい景色に出会えますように。

そして、
あなたの旅が、あなたらしく、
温かく、自由で、優しいものでありますように。

どんな旅にも、
“あなたは行ける”
という事実が、そっと寄り添っています。

どうか、その一歩を大切に。

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