🌟【車椅子ひとり旅:新幹線編】

挑戦!車椅子ひとり旅体験記

会いたい気持ちが、わたしを遠くまで連れていってくれた。


はじめに──ひとりで新幹線に乗るという“大きな一歩”

母をお空へ見送ってから、残された家族の中でひとりになってしまった叔母。
「寂しいのよね」とこぼす声を聞くたびに、
わたしも胸の奥がひっそり痛む瞬間がありました。

会いに行きたい。ひとりでも、行ってみたい。

その思いが、今回の“車椅子ひとり旅”のきっかけでした。

ひとりで新幹線に乗るのは簡単なことではないけれど、
たくさんの人の優しさに支えられたこの旅は、
わたしの世界をそっと広げてくれた忘れられない経験になりました。

1. まずは「みどりの窓口」へ電話──車椅子スペースは必ずあります

大宮から北陸新幹線を利用するにあたり、
最初にしたのは「みどりの窓口」へ電話することでした。

問い合わせると、最初にこう言われました。

「どの新幹線にも、車椅子専用スペースがありますよ」

その言葉だけで、不安の7割が消えた気がしました。

● 車椅子席は2タイプ

  1. 車椅子に乗ったまま過ごせるタイプ
  2. 車椅子を置いて指定席へ移るタイプ

少し立つことができるわたしは、後者を選びました。

どちらのタイプも 指定席扱い で、
安心を買うと思えば十分納得できるシステムです。


2. 実際に窓口へ──予想外すぎる手厚いサポート

後日、改めてみどりの窓口へ足を運ぶと、
車椅子席専用の申込用紙があり、そこへ必要事項を記入します。

驚いたのは、
新幹線を降りた“あとの”ローカル線まで手配してくれたこと。

叔母の家の最寄り駅は、ほぼ無人駅。
それでも窓口の担当者さんは連絡を入れ、
当日は駅員さんが待機できるようにしてくれました。

「駅からタクシーで行くので大丈夫です」と伝えても、
「もう手配済みなので安心してくださいね」と微笑む担当者さん。

そして大宮駅では、

  • 乗り換えの案内
  • 最寄りのホーム案内
  • 事前連絡の徹底

ここまで丁寧に手配してくれるなんて、本当に驚きでした。

切符を受け取ったとき、
“ひとりでも行けるんだ” と胸が熱くなりました。


3. 出発当日──駅員さんの言葉と笑顔が背中を押してくれた

当日は晴天。
持ち物を一つずつ確認して最寄り駅へ向かいました。

いつも通りの顔馴染みの駅員さんたちが、
「今日は頑張ってね」と声をかけてくれ、
乗り継ぎもスムーズに進みました。

大宮駅では、乗車まで時間があったため、
新幹線ホーム近くのカフェまで案内していただき、
コーヒーを飲みながら心を落ち着けます。


4. いよいよ北陸新幹線へ──ホームドアの安心感

大宮駅の新幹線ホームにはホームドアが完備されていて、
車椅子のわたしにとって大きな安心材料でした。

ホームの狭さや段差の不安を感じることが多いので、
こういう「小さなバリアフリー」が本当にありがたいのです。

駅員さんがサッとスロープを渡し、

「いってらっしゃい、気をつけて!」

その一言に、緊張がふっとほどけました。


5. 車椅子専用席はこんなに使いやすい──感動のレイアウト

車内に入ると、目の前に広いスペース。

  • 右側:車椅子に乗ったまま過ごせるスペース
  • 左側:車椅子から移乗できる指定席
  • さらに窓側に付き添い席

ドアは車椅子席に近い位置が案内されていて、
細かな配慮の積み重ねに胸が熱くなりました。

久しぶりの新幹線は驚くほど静かで、
景色がゆっくり流れていくその時間は、
何年ぶりかの“ひとりの自由”でした。

多目的トイレもすぐそばで、安心感は言葉にならないほど。


6. 到着駅でも完璧な連携──無人駅に駅員さんが待っていた

降車駅に着くと、
駅員さんがすでにスロープを持ってスタンバイしていました。

「帰りの新幹線も今日ですよね。手配してありますよ」

言われたときの安心感といったら、もう…。

そして、叔母の最寄り駅(普段は無人)の駅員さんまで、
当日は待機してくださっていて、
最後の段差まで丁寧にスロープを設置して送り出してくれました。

その優しさに胸がいっぱいになりながら、
叔母の家へ向かいました。

叔母はとても喜んでくれて、
母の遺品も大切に受け取ってくれました。

「これが、どうしてもしたかったことだったんだ」
そう思った瞬間、胸がじんわりと満たされました。


7. 帰り道──どの駅でも、必ず温かい言葉があった

帰りに乗車するときも、同じ駅員さんが迎えてくれて、

「帰りも気をつけてくださいね」

その一言が、本当にありがたかった。

大宮駅ではまた案内がつき、

「今日は楽しめましたか?」
「はい!とても!」

そんなやり取りがあまりにうれしくて、
ひとり旅なのにひとりじゃなかったような気持ちでした。

最寄り駅に着くと、
今度は別の顔馴染みの駅員さんが待っていてくれました。

「おかえりなさい」

その言葉に、思わず
「楽しかったです。ただいま帰りました」と返していました。


8. 旅を終えて──次の一歩が自然と生まれた

この旅で感じたことはただひとつ。

ひとりでも、ちゃんと新幹線に乗れる。
そして交通のバリアフリーは、思っている以上に進んでいる。

今回の旅が楽しすぎて、
なんと2週間後には次の計画を立ててしまいました。

行きたい場所を「遠いから」「不便だから」と諦めるのではなく、
挑戦してみたい と思えるようになったのです。


おわりに──誰かの背中をそっと押せるように

もしこの記事が、
電車や新幹線を利用したいけれど不安な人の背中を、
少しでもそっと押すことができたなら――

それだけで、この旅を書いた意味があると思っています。

わたしみたいに
「ひとりでも行ってみようかな」
と思ってくれる人がいたら嬉しいです。

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