🚍 車椅子ひとり旅体験記:乗合バス編

挑戦!車椅子ひとり旅体験記

― “できるかもしれない”が、“できた!”に変わる瞬間 ―

初めての挑戦は、通院のきっかけから

「タクシーじゃなくて、バスで行けたらいいのにな」
そんな何気ない思いが、わたしの“ひとり旅”の始まりでした。

定期通院のとき、それまではタクシーを使っていました。
でもふと、「バスだと交通費がずっと楽なんだけどな」と思ったのです。

往復で約6000円かかっていたタクシー代が、バスなら1000円以内。
思い切って、バスに挑戦してみようと思いました。

営業所への電話が、最初の一歩

不安だったけど、「大丈夫だから、乗ってください」と言ってくれた。

時間帯によっては混雑する路線だったので、
まず営業所に電話してみました。

おそるおそる事情を話すと、電話口の方は明るく言いました。
「大丈夫ですから、乗ってください」

その言葉にほっとして、
「◯日の◯時のバスに乗ります」と伝えると、
「全部こちらでやりますから、安心して乗ってくださいね」と。

それだけで、不安がずいぶん軽くなりました。

当日:ドキドキの初乗車

「あ、葉月さんですか?」
その一言で、緊張がふっとほぐれた。

早めにバス停に到着し、胸の鼓動が少し速くなるのを感じながら待っていると、
運転手さんが声をかけてくれました。

スロープの準備も、車椅子の固定も、すべて手際よく。
周囲の乗客も温かく見守ってくれ、
「今は車椅子も対応してくれるのね。よかったわね」と声をかけてくれる人もいました。

車内はゆっくりと進み、
わたしは心の中で「乗れた…!」と小さくつぶやいていました。

到着。そして感じたこと

降りるとき、運転手さんが言ってくれた言葉が忘れられません。

「歩道がないので、少しスロープ急になりますよ。でも押さえているので大丈夫です」
丁寧にサポートしてくれ、
「いってらっしゃい!」と送り出してくれたのです。

帰りのバスでも、また同じように笑顔で迎えてくれました。
「また来てね」「気をつけて帰ってね」
その一言一言が、心に染みました。

続く“日常の旅”へ

それ以来、バスは「特別な移動手段」ではなくなりました。

役所に行くときも、駅まで行くときも、今では自然と乗合バスを使います。
顔見知りの運転手さんも増え、
「いつもありがとう」「久しぶりだねぇ」
と声をかけてくれるようになりました。

車椅子でも出かけていいんだ――。
そう実感した瞬間でした。

不安があるなら、「できる準備」をすればいい

わたしの場合は、それが“営業所への電話”でした。

最初のころは毎回連絡していましたが、
「もう連絡はいりませんよ」と言ってもらえたとき、
少しだけ胸を張れた気がしました。

降りるときは、他の乗客にも「ありがとうございました」と会釈をします。
たったそれだけで、空気が優しくなる気がします。

まとめ:最初の一歩を踏み出す勇気を

どんなことにも“最初”があります。
でも、準備すれば不安は小さくなります。

車椅子だからといって、旅をあきらめる必要はありません。
小さな一歩が、世界を少しずつ広げてくれます。
そして、その世界には、思っているよりずっと多くの“優しさ”があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました